精神神経科
- 特 色
- 取り扱っている主な疾患
- 医師紹介
当科は、現在常勤医師2名(うち精神保健指定医1名)の体制で診療を行っています。診療対象は統合失調症、双極性障害、神経症、認知症、てんかんなど、精神神経障害全般です。また、総合病院精神科として、他科と連携を図り、身体合併症を伴う精神障害の診療を行うのみならず、身体疾患に伴って出現したり悪化したりする精神症状(せん妄、認知症の周辺症状、ステロイドなどの薬物や脳神経疾患に伴う症状性精神病など)の診療を行います。
臨床心理士(非常勤)が2名所属し、心理検査やカウンセリングを行い、診療のサポートをします。
私たちは、定期的に医師、看護師、臨床心理士、精神保健福祉士、作業療法士などの多職種でカンファレンスを行い、情報を共有し、診療を行います。
患者様の多い疾患/障害を紹介します。
統合失調症
およそ100人に1人の割合で発症し、主に思春期から青年期に発症します。遺伝的素因に環境因子が相俟って発症するもので、かつて指摘されたような「親の育て方が悪い」ことが単独で発症原因になることはありません。
一般的な症状は、陽性症状(幻聴、妄想、思考の混乱、まとまらない言動など)、陰性症状(感情の平板化、思考の貧困さ、自発性低下、無関心など)、認知機能低下(記憶力低下、作業能力の低下など)があります。
統合失調症は未治療期間を短くすることが重要です。未治療の間、脳内では炎症が生じ、次第に非可逆的な変化が生じると考えられています。そして、症状が落ち着いている期間(寛解期)も、内服を継続することも重要です。内服の中止により、再発・再燃のリスクが大幅に上昇するからです。再発を繰り返すことで、症状は治りにくくなります。
明確な治療方法が存在しなかったかつては、統合失調症の発症が非常にネガティブな意味を持っていました。しかし、現在は抗精神病薬、修正型電気けいれん療法、リハビリテーションなどの総合的治療により、症状を大幅に改善させるだけでなく、社会復帰と生き甲斐の回復(リカバリー)を目指せるようになりました。私たちは、患者様の辛い時間を少しでも減らすべく努力します。
うつ病
一般的にうつ病とは、抑うつ気分、意欲減退、睡眠障害、倦怠感といった精神症状や身体症状が長く続き、日常生活に支障をきたす病気と定義されます。「うつ病」と診断される状態には大きく分けて3種類あります。
一つ目は、脳の異常の要素が強いうつ病です。「お金がすべてなくなってしまった」「とんでもないことをしてしまった」等と現実とは乖離した言葉が多く、周りからは妄想的に見えます。このタイプのうつ病は本人がうつ状態そのものを訴えて受診しないことが特徴で、抗うつ薬としっかりした休養で改善します。
二つ目は、誰しもうつ状態になり得るような強いストレス(度重なる逆境体験、過労、社会的孤立、経済的困窮など)が持続することによるうつ病です。この場合、薬物療法のみでは症状の軽減はできても、治すことはできません。重要なのは元のストレスをいかに解消するかが重要になります。
三つ目は、発達障害や知的能力障害といった、特性の偏りなどから、「生きにくさ」を強く感じ続け、結果的にうつ状態になるタイプです。この場合は適切な社会的支援を調整することが重要です。
「うつ病」は項目を満たせばすべて「うつ病」と診断されますが、近年は相対的に二つ目と三つ目のタイプが増加しています。うつ病もタイプによって治療や支援がまったく異なるため、治療方針や目標を共有し、長い目で相談することが大切です。
双極性障害(躁うつ病)
うつ状態(抑うつ気分、意欲減退、睡眠障害、倦怠感など)と躁状態(気分が異常に高ぶる、怒りっぽい、気分が大きくなり過ぎて高額な出費や性的な奔放さが目立つなど)が交互に繰り返される病気です。それぞれの状態は一般的に週単位で継続します。
うつ病として治療されている患者様のうち10人に1人くらいの割合で、躁状態を呈し、双極性障害に診断が変更になる方がいます。治療薬はうつ病と異なり、気分安定薬や非定型抗精神病薬などが中心となり、抗うつ薬は用いられないことが多いです。
双極性障害はうつ病ではなく、統合失調症に近い病気と言われ、統合失調症と同様、未治療期間を短くし、症状が無い期間も適切な薬物療法を続けることで、再燃・再発を防ぐことが重要です。
認知症
超高齢化社会と言われ久しい現在、認知症は以前より身近な病気となりました。本邦では65歳以上の15%、85歳以上では40%が認知症とされ、誰にとっても無縁でない疾患です。認知症のタイプとして、主に物忘れが目立つアルツハイマー型認知症、幻覚や多様な精神神経症状が出現するレビー小体型認知症が多数を占めますが、前頭側頭型認知症や血管性認知症など、その他の認知症を鑑別する必要があります。
近年、軽度認知障害(MCI)という概念が知られるようになりました。MCIは必ずしも認知症に移行するわけではなく、正常域に復帰する方もいることが指摘されています。抗体薬などの新規治療薬も登場しており、早期発見と介入(治療薬、生活改善など)が重要です。当科では物忘れ検査入院を行っており、ご心配な症状がある方はご相談下さい。
職 名 | 氏 名 | 所属学会 | 学会認定資格等 |
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医長 | 早稲田 紘士 | 日本精神神経学会 日本総合病院精神医学会 日本生物学的精神医学会 |
精神科専門医 精神保健指定医 精神科専門医制度指導医 認知症診療医 一般病院連携精神医学専門医 一般病院連携精神医学専門医指導医 |
医長 | 縄手 球湖 | 日本精神神経学会 北海道精神神経学会 |
職 名 | 氏 名 | 所属学会 |
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医長 | 早稲田 紘士 | 日本精神神経学会 日本総合病院精神医学会 日本生物学的精神医学会 |
医長 | 縄手 球湖 | 日本精神神経学会 北海道精神神経学会 |
医長 | 早稲田 紘士 | 日本精神神経学会 日本総合病院精神医学会 日本生物学的精神医学会 |
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医長 | 縄手 球湖 | 日本精神神経学会 北海道精神神経学会 |
最終更新年月日:2025.05.23