薬の豆知識
★ 服薬時に気をつけたいこと
袋の表示をよく確認する
薬が入っている袋(薬袋:やくたい)には、用量(飲む量)と用法(飲む時間)が表示されています。用量・用法は、病状や年齢、体質など個々の状況を考えた上で決められていますので、ご自分の判断で変えてはいけません。
薬はたくさん飲めばよく効く、速く効くというものではありませんし、決められた用量以上に使うと副作用が出る恐れがあります。逆に副作用を恐れるあまり中途半端に服用すると肝心の効果が得られないこともあります。
体の中で薬の有効な濃度を保つためにも、薬袋をよく見て、表示された量や時間、飲み方を必ず守るようにしましょう。
飲み方のポイント
薬によってはお茶やコーヒー、ジュースなどと相性が悪いものがあります。必ず水またはぬるま湯で服用しましょう。
薬を少量の水、または水なしで服用すると、のどや食道に薬がひっかかり、そこで潰瘍・炎症などを起こしてしまう危険があります。
体を横にしたまま薬を服用すると、薬がお腹まで届かずにのどや食道に留まってしまう場合があり、そこで潰瘍・炎症などを起こしてしまう危険があります。
錠剤・カプセル剤の中には特別な加工が施されているものがあり、錠剤を砕いたりカプセルをはずして服用することで、薬の効果が強くなったり弱くなったりするものがあります。錠剤・カプセル剤が服用できない場合は、自分の判断で砕いたりせず、医師・薬剤師にご相談ください。
飲み合わせに注意
別々の病院でもらった薬は医師・薬剤師に相談してから飲むようにしましょう。
また病院でもらった薬と市販されている薬を一緒に飲む場合も医師・薬剤師に相談してからにしてください。薬の組み合わせによっては、相互作用(後述)によって期待通りの効果が現れなかったり、思わぬ副作用が出たりする場合があります。
かかりつけ薬局を決めておくと相互作用のチェックをしてもらえます。
他人の薬を飲まない
家族や友人が病院でもらった薬を分けてもらって服用する方がいますが、これは絶対にやめましょう。医師はその方の病状や年齢、体質、他に服用している薬などを考えて使う薬を決めています。他の方がその薬を飲んでしまうと予想しない副作用が現れる恐れがあります。医師から処方された薬は、その方だけの薬なのです。
★ 薬を飲む時間について
薬袋には食後・食間・食前・食直後・食直前・就寝前・頓服などと飲み方(用法)が表示されていますが、具体的にはいつ飲めば良いかご存知ですか?
ここではよく使われている用法についてご説明します。
食 後 |
食事の後30分以内(すぐでもOK)に飲んでください。 これは胃の中に食べ物が残っているときに薬を飲むことで、胃への刺激を少なくすることができるからです。また、ご飯を食べたら薬を飲むという習慣をつけていただくことで飲む忘れを防ぐためでもあります。 |
食 前 |
食事の前30分以内に飲んでください。食事のすぐ前でも構いませんが、なるべく30分前に飲むようにしましょう。 胃腸の働きを活発にする薬や吐き気を抑える薬などは食事の時に効果が現れるように食前で飲むことがあります。また、漢方薬は食後に服用すると体に吸収されにくいので食前で飲むことがあります。 |
食 間 |
食事の後およそ2時間後に飲んでください。 食間とは食事と食事の間のことで、お腹が空っぽの時間を指します。他の薬に影響を与える薬によく使われる用法です。「食事を食べている間」ということではありませんのでご注意ください。 |
食直後/食直前 |
食事を食べたすぐ後/食事を食べるすぐ前に飲んでください。糖尿病の薬によく使われる用法です。 |
就 寝 前 |
寝るおよそ30分前に服用してください。睡眠薬や夜間の発作を予防する薬、排便を促す薬に使われる用法です。 |
頓 服 |
発作時や症状のひどい時に飲んでください。 解熱薬、鎮痛剤、下剤、睡眠薬、狭心症発作時を抑える薬などによく使われる用法です。 |
★ 服薬時に気をつけたいこと
複数の薬を服用したときに、1つの薬が他の薬の効き目に影響することを「相互作用」といいます。また薬と薬の場合だけではなく、お酒やたばこ、飲食物によっても相互作用が起こることがあります。相互作用が起こると、薬の効き目が弱くなり十分な治療効果が得られなかったり、薬の効き目が強くなり思いがけない副作用が起きてしまう場合もあります。 ここでは代表的な相互作用についてお話します。
これらは相互作用の一例に過ぎませんので、使用している薬の詳しい相互作用については医師や薬剤師にお尋ねください。
納豆菌が作り出すビタミンK、クロレラや青汁に多く含まれるビタミンKが、ワーファリンの効き目を弱くします。
十分な治療効果が得られません。
牛乳に入っているカルシウムがミノマイシンの吸収を妨げるため、ミノマイシンの効き目が弱くなります。十分な治療効果が得られません。
グレープフルーツに含まれている成分がカルシウム拮抗薬の効き目を強くしてしまい、低血圧で倒れてしまう場合があります。カルシウム拮抗薬は種類が多数あるため、詳しくは医師や薬剤師にお尋ねください。
喫煙により薬の効き目が弱くなります。
十分な治療効果が得られません。
制酸剤・下剤である酸化マグネシウムと、抗生物質のクラビットの同時服用にてクラビットの効き目が弱くなります。
飲酒により睡眠薬の効き目が強くなります。
翌朝覚醒時に眠気が残り、フラツキなどが現れる場合があります。